[その3]太陽熱の力で電気ポットを節電セヨ!
「[その2]電気ポットの電力量を把握セヨ!」」のミッションから、佐藤エネルギーリサーチの電気ポットの消費電力量は1日あたり520Whであることが判明しました。
そこで、この電力を節電するために、ミニ太陽熱温水器を作って実験しました!
わが社のオフィスは東向きです。前日の帰る前に、窓辺に2Lのペットボトルでつくった”ミニ太陽熱温水”を置いて太陽熱でお水を温めます。朝、出社したときにそのお水(お湯)を電気ポットに入れて沸かしてみました。
(実験日:2011年7月11日)
ミニ太陽熱温水器の材料
使用したもの | 費用 |
---|---|
ペットボトル | 0円(麦茶のペットボトルを再利用) |
黒の塗料スプレー | 398円 |
発泡スチロールの箱 (ペットボトルが入る大きさのもの) |
0円(近所のデパートでもらう) |
透明のプラスチック板2枚 | 180円 |
アルミ箔 | 105円 |
テープ、ペン、定規などの文房具 | 0円(会社にあるものを使用) |
ミニ太陽熱温水器の作り方
(1)まずは、集熱するためにペットボトルを黒の塗料スプレーで塗ります。黒は放射率の大きい「ツヤ消し」です。2度塗りして、よく乾かします。
ペットボトルに入れた水は、口に入ることになるので、ペットボトルの蓋はよく閉めてスプレーしました。
(その後、蓋はきれいなものに取り換えています)
(2)ペットボトルを入れる断熱箱は、近くのデパ地下でもらった、枝豆の容器です。これにアルミ箔を貼ります。太陽熱をアルミ箔で反射させてペットボトルの水に集めるためです。昔、小学校の理科でやりましたよね。
(3)発泡スチロールの蓋はくり抜いて、透明のプラスチック板を貼ります。これは太陽を集める窓です。今回は、断熱性能を向上させるため、内側と外側に透明のプラスチック板を貼りました。建物でいうと複層ガラスですね。
ペットボトルに水を入れて、断熱箱にセットし、断熱箱の蓋を閉めて窓辺に設置します。
発泡スチロールの箱の蓋を使っていますので、開けたり閉めたりも簡単にできます。しかし、プラスチック板に手垢(接着剤)がついてしまって、透過率が低下、、、(笑)
太陽熱のパワーはいかほど!?
太陽熱でどのくらい温度は上昇するのでしょうか?
結果がこちら↓↓
7:00くらいから温度が上がり始めて、電気ポットでお湯を沸かす9:30には44℃になりました。水温が28℃でしたので、太陽熱に2時間30分当てることによって17℃温度が上昇しました。
「断熱箱なし」に比べて、「断熱箱あり」は3℃くらいの差があります。この差は、ペットボトルの周りの空気層による断熱効果ですね。
電力量はどれくらい??
さて、電気ポットに入れる水を太陽熱を使って温めた場合、電気ポットで沸騰させるための電力量はどのくらいになるでしょうか?
太陽熱なしの場合、28℃の水2Lを沸騰させるのに必要な電力量は211Whでした。一方、太陽熱ありの場合は44℃に温めたお湯を沸騰させるので、電力量は172Whですみました。
211Wh-172Wh=39Whですので、比率にすると39Wh÷211Wh×100=18%になります。すなわち、太陽熱ありの場合は、太陽熱なしの場合よりも電力量を約18%削減することができました。
沸騰に必要な熱量は?
ここで、「[その2]電気ポットの電力量を把握セヨ!」」と同じように沸騰に必要な熱量を計算すると、
太陽熱なし
0.002[m3]×4218[J/kg・K]×1000[kg/m3] ×(100℃-28℃)=607392[J]
太陽熱あり
0.002[m3]×4218[J/kg・K]×1000[kg/m3] ×(100℃-44℃)=472416[J]
で、22%の削減になるはずですが、、、
ペットボトルから電気ポットにお湯を移す時に、温度が下がってしまったことが影響していると考えられます。太陽から集めた大事な「熱」ですから、丁寧に、素早くお湯を移さないといけませんね。
太陽熱あり・なしで一日の電力量はどうなる?
佐藤エネルギーリサーチの事務所では、「[その2]電気ポットの電力量を把握セヨ!」」にあるように、1日に2回程度お湯をわかし、80℃で保温しています。お湯を沸かす2回のうち1回を太陽熱で温めたとすると、1日あたり電気ポットの電力を10%程度減らすことができます。
ちょっと工作は必要ですが、一度作ってしまえば、帰り際に断熱箱にペットボトルをセットすれば簡単にできちゃいます。毎日9:00か9:30頃にはお湯を沸かすのですが、10:00過ぎまでペットボトルを日射が当たる窓辺に置いておくと48℃くらいまで上昇します。
太陽の恩恵をしっかり受け、最大効率で稼働するには10:30頃までお茶を我慢すればよいのかもしれませんが、いつものペースを崩さず、近くの自然エネルギーとお付き合いしていきたいな、と思います。
(公開日:2011年9月2日)