004.すまいの温度と燃費のシミュレーションシステムe-cocochiの開発
概要
建物の快適性や燃費は、実際に建てて実測すればわかりますが、それでは手遅れになります。そのため、設計段階でコンピュータを使ったシミュレーションで予測する必要がありますが、専門性が必要な上になかなか時間が取れずに経験的に実施しているのが実情だと思います。
そこで、室温や燃費をシミュレーションするツールe-cocochiの開発協力をしました。佐藤エネルギーリサーチの培ってきた経験から、計算結果に影響を与える最低限の項目だけを入力することで、入力からレポート作成まで10分程度でできます。しかも、クラウド環境で構築したので、インターネット環境さえあれば出張先、お客様宅でも行えます。タブレットでの実行も可能です。
e-cocochiには、「e-cocochiホームデザイナー」と「e-cocochiリビングデザイナー」があります。e-cocochiホームデザイナーは、住宅の温熱環境と燃費をシミュレーションするツールです。e-cocochiリビングデザイナーは、住宅の中で最も過ごす時間の長い(=暖冷房エネルギーが大きい)リビングをどこに配置するのがよいかを検討するツールです。
以下に、e-cocochiホームデザイナーの特徴をご紹介します。
↑プランの入力も簡単です(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示します)
↑居住者の生活パターンで家電、照明、暖冷房が自動でON/OFFします
e-cocochiホームデザイナーの特徴
簡単な入力方法
暖冷房負荷シミュレーションを行うには、各部屋の外壁や窓の熱性能や面積など、細かい情報を入力する必要があり、1軒のシミュレーションをするのに1日はかかっていました。e-cocochiホームデザイナーでは、クリックするだけで簡単にぬり絵感覚で入力すると自動的に面積を拾ってくれます。
開口部の仕様は個々に設定することもできますが、面倒な方向けに一括で設定することもできます。
近くの気象条件でのシミュレーション
e-cocochiホームデザイナーにはNEDOが開発した年間時別日射量データベース(METPV-11)をベースに開発した熱負荷計算のための気象データを使っています。平成28年省エネ基準の1~7地域、819地点から建設地の住所を入力すると近い気象データ3地点分を自動選定しますので、そこから選択してください。
↑建設地の住所を入力すると、近い3地点分の気象データを自動選定します
敷地の日当たり具合を反映した計算をします
特に冬の日当たり具合は、室温や燃費に大きく影響します。e-cocochiホームでは、ご近所の建て込み具合を反映して室温や燃費を計算します。特に夏の東西に窓のある部屋や冬の室温に影響します。
快適設計のためのアドバイス・結果の見方を表示
e-cocochiホームデザイナーでは、計算結果の具体的な解説をしてくれます。また、快適な室内環境や省エネルギーの実現のためにどう改善すればよいか、設計物件に応じて具体的なアドバイスを表示してくれます。このアドバイスは施主のライフスタイル・嗜好(家族構成やお風呂の入り方、エアコンの好き嫌いなど)を踏まえて変化するので、省エネルギー性能のみによらない柔軟性に富んだ内容になっています。
快適設計のためのアドバイス・結果の見方を表示
シミュレーションの結果は、冬の最も寒い日の各部屋の室温を色別で表示したり、年間のエネルギー消費量をグラフで表示します。アドバイスに沿った改善を行った場合の比較結果も同時に表示されるので、具体的な効果を確認しながら設計に活用することができます。
↑室間温度分布が一目瞭然です | ↑リビング内の体感温度分布が表示できます(同じプランでも断熱性能によって快適に過ごせる領域が違います) |