008.住宅における地域性を活かした省エネ技術の評価のための簡易熱負荷計算法の検討
本調査は、国土交通省「平成28・29・30年度建築基準整備促進事業E7.住宅における地域性を活かした省エネ技術の評価のための簡易熱負荷計算法の検討」(実施主体:佐藤エネルギーリサーチ株式会社、共同研究:国立研究開発法人建築研究所)の実施成果です。
概要
住宅の省エネルギー基準は、平成25年に断熱性能に加えて設備で消費される1次エネルギーを総合的に評価する基準に改定され、エネルギー消費性能計算プログラム(WEBプログラム)で1次エネルギーの計算を行うこととされています。
現行の省エネルギー基準では、暖冷房設備の消費エネルギーの算出にあたっては、あらかじめ計算した膨大な暖冷房負荷の結果(データベース)から、計算したい住宅の特性(地域、運転スケジュール、断熱水準、熱交換換気有無、日射遮へい水準、通風有無、熱容量付加有無)に近い結果を参照する方法を用いているので、建築一体の省エネ技術を新たに評価するにはデータベースを追加する必要があります。
本調査では、新たな建築一体の省エネ技術を評価可能にするために、データベースを用いる方法から、WEBプログラムに熱負荷計算法を組み込んで熱負荷計算を実施する方法へ変更しようというプロジェクトです。
熱負荷計算法の簡易化
熱負荷計算法は様々ありますが、以下の3つの要求事項を満たすような計算方法を整理しました。
- 計算精度を維持しつつ、計算速度の高速化と計算方法の簡易化を両立すること
- 壁体や窓などの部位の表面温度(放射環境)を考慮した室内温熱環境が計算できること(図に示すように、室内表面温度を精緻に計算できること)
- 地域性を活かした省エネ技術の評価が可能なこと
また、熱負荷計算を行う上で必要となる計算条件についても整理しました。
昨今、住宅の床下空間を有効活用するようなシステムが開発されています。例えば、基礎断熱を行った床下空間にエアコンを設置したり、空気集熱器で加熱された空気を床下に供給することで1階全室を床暖房するシステムなどです。図に示すような床下空間の伝熱計算を行うことで、こういったシステムを評価可能となることが期待されています。
熱負荷計算における入力情報の簡易化
熱負荷計算を行うためには、現行の省エネルギー基準に比べて多くの情報を入力する必要があります。細かく入力したい人から簡単に入力したい人まで、入力レベルを数段階用意して、ユーザーが選べるようにします。熱負荷計算には、細かい情報が必要なので、簡単な入力の場合に省略された情報を補完する方法も検討しています。
どんなに設計住戸の室数が多くても、計算速度の観点から、図のように主たる居室、その他居室、非居室、床下の最大4室で計算することを考えています。
入力された建物情報を基に、比較対象となる基準住戸も自動的に作成します。
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